お題2 ごきげんよう

アニスさん ジャイロ

  恩赦のために 故郷と家族を後にする
  船底一枚下は地獄 ゆらり揺られて新世界
  波枕で蘇るのは 背中で聞いた別れの言葉
  港に佇む 自分の半身と同じ者
  ─── 神のご加護がありますように
  必ず無事で帰ってね しばしの間は
  ごきげんよう ごきげんよう ───

  ※〔所要時間:30分〕



乾千代さん ティム&ジョニィ(ジャイロ)




約1時間

コラボ チャグさん ティム&ジョニィ(ジャイロ)




5/4 21:15-21:25



るーぞー ホットパンツ

「はっ!!」
ホットパンツが気付いたのは、果樹園の中の、すっかり壊れてしまった小さな家の前だった。そこで一人横たわって気絶していたのだ。
(あれから、どうなったんだろう)
リンゴォの攻撃でジョニィが頭を撃たれ、自分が胸を撃たれたのは覚えている。そこからどうなったのか、辺りを見回すとジャイロとジョニィの姿は無い。そして家の中でリンゴォが倒れている。
(そうか、きっとジャイロが倒したのだろう。)
自分につっかかり、やいのやいの言っていたジャイロを、口先だけの男では無かったのだとホットパンツは少し見直した。
ジョニィはきっと、自分のスプレーを使って治療されたハズだ。ホットパンツは、自分のスプレーを無断で使われた事に少しイヤな気がしたが、しょうがないから許してやろうと思った。
(オレの傷も治療してから去って行ったことだし、な…)
そう考え、気絶したままの自分を起こしもせず放置して行った事も許してやろうと思った。
(ま、最初からジャイロの野郎は二人で旅をしたがってたようだからな…オレが一緒に行くのをイヤがっていた。)
色々寛大な気持ちで、ホットパンツは体の様子を確かめながら愛馬に近づいて行った。気付くと、カバンが開いている。
「?!」
中を見ると…サンドイッチだけが綺麗に無くなっていた。
「………あ、の、野郎っ!!」
別にサンドイッチをあげるのは惜しくないし、欲しけりゃやる。しかし、黙って盗まれるとめちゃくちゃ腹が立つ。
「あいつーーーっ!!!絶対ジャイロの仕業だ!!あいつは人の食べ物を盗む教育を受けて育ったのか?!!!」
ホットパンツはジャイロの仕業だと決め付けた。実際そうだ。
怒りの炎が激しく胸を焦がし、やっぱり最初に会ったときに縛り首にしてやればよかった!と思えてならない。いや、それは今度会った時でも遅くない、そう思いなおした。
「今度会った時も、最初に言うことは決まっている。“ごきげんよう”だ。」
激怒しながらぶつぶつ言っている主を、愛馬ゲッツ・アップだけが物言いたげな瞳で見つめていた。

5/3 1:40-1:56

コラボ 村瀬さん ホット・パンツ



5/5 所要時間約15分


まよるんさん ホット・パンツ&ジョニィ



5/3 21:30〜22:15



いづみさん ティム×ディエゴ

朝食をとろうと2階から降りてきたところで、視界の端に金色を捉えた。
中継地、急ごしらえのホテルであっても食堂というものはもちろん存在する。参加者たちはレースで疲れた身体を久方ぶりのベッドに横たえ、今までロクなものも食べていなかった食事を口にする。淹れたてのコーヒーの香り、パンを焼く匂いがティムの鼻腔をくすぐった。それにあわせたように空っぽの胃が空腹を訴える。彼はすぐ目についた適当なテーブルに座り、朝食を食べようと思った。
が、どうしたわけかその意思とは裏腹に、実際にとった行動はずいぶん違ったものだった。
「おはよう」
ティムは爽やかに話しかけた。
さっきの金色、射抜くようなアイスブルーの目、天才ジョッキーのディエゴ・ブランドーだ。彼はたった一人で広いテーブルを占領し、優雅にコーヒーを飲んでいた。周りの全てに対して一種の境界線を張っているようなその態度。だが、ティムが現れたことで彼の機嫌はよいとはいえなくなったようだ。
ディエゴは挨拶を無視すると、また口元にコーヒーを持っていった。ティムは苦笑し、
「挨拶くらい返しても損はしないと思うぜ」
言ったが、相変わらずその横顔がこちらを向くことはなかった。やれやれ。しかし、ティムはちょっと考えたあと、やにわにそのテーブルに腰を下ろした。今度ばかりはディエゴの目があからさまに不機嫌そうに彼を捕らえる。
「…席ならいくらでもあるだろう」
窓の少ないホールは薄暗く、ざわざわとあたりは雑音に満ちている。まるで夕方の酒飲みをおっ始めるような軽い雰囲気だった。その中で彼は孤高であり、逆に少し浮いて見えた。それに便乗してティムは、あからさまにメニューで顔を隠し聞こえないふりをした。
「席を移れ」
今日のメニューはライ麦パンにサラダにスープ、それにコーヒーがついてくるそうだ。それもブルー・マウンテン。まったくこのレースの主催者は気前がいい。最近飲んだコーヒーといえばインスタントの薄くて水っぽい奴だけで…
メニューを下に降ろすと、ちょうどディエゴが席をたとうとしているところだった。半分近くあったコーヒーは空になっている。ご丁寧にも一気に飲み干してから立ち去るつもりなのだろう。なんとももったいない。コーヒーは本来じっくり飲むのが美味いのに、と思った。
「ヘイ、天才ジョッキー!」
ふざけて呼びかけたが、もちろん返事はない。がたがたと何事もなかったかのような冷静な顔で、ディエゴは歩こうとする。「待てって!」ティムはもう一度口を開いた。
「ディエゴ!」
ちょうどそのとき、店員がティムのぶんのコーヒーを運んできた。ブルー・マウンテンのかぐわしい豆の香り、これには誰だって心惹かれずにはいられない。普段まともにコーヒーにありつけない者にとっては特に。
ディエゴはほんの少しだけ立ち止まってそちらを見た。
「もう少し座れよ。コーヒーでもどうだい?」
ティムはにやっと笑って見せ付けるようにカップを持ち上げた。途端、かっと瞬時に沸いたような怒りがディエゴの顔を横切った。
「…断る。俺は先を急ぐのでね。どっかのマヌケがコーヒーを飲んでいる間にな!」
彼はどうにか怒りを抑えることに成功すると、いくらか静かに言った。
「ごきげんよう」
イントネーションはかろうじて正確なままだった。だが立ち去る際の歩幅は大きく、それは彼が明らかに大きな不機嫌の中にあることを示していた。テンポの速いブーツの靴音が移動するにつれ、店員はおっかなびっくり目をそらし、他の客達はひそひそとなにかを囁きあう。
「ごきげんよう!」
彼はひらひらと手を振ると、淹れたてのコーヒーを一口、味わった。
楽しそうな彼の後ろで、朝食を運んできた給仕がおどおどと彼らを見比べた。そんな空気の中でひとり、ティムだけが弾かれたように笑い出していた。

所要時間:約一時間




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