第三ステージ二日目の夜。真夜中に、ジョニィはうなされた。夢の中でジョニィは、折角不思議な能力を使えるようになったのに、その媒介の役目をしているらしいミイラの左腕を奪われ、敵に襲われて窮地に立たされていた。
助けを求めるジョニィの声は寝言となり、飛び起きたジャイロがすぐに傍らに駆け寄ってきた。単に悪夢にうなされているだけだと理解したジャイロは、ジョニィを揺り起こす。目が覚めたジョニィは、危機一髪の状態が悪夢だったことに安堵した。
安心したジャイロが再び就寝せんと自分の寝袋の方へ移動しようとした時、ジョニィがジャイロのマントの端を掴んだ。掴んだばかりでなく、ジャイロを自分の方へ引き寄せようと引っ張った。
ジャイロ:「なーんだジョニィ、怖くて一人で眠れないのか?」
悪夢の中で殺されかける体験したジョニィは、必死の形相でジャイロに訴えた。
ジョニィ:「僕がこのレースの最中に死んだら、どうなる!? 誰かに攻撃されてとかでなくて、心臓発作とかの病気でもいいけど! 一体どうなるんだ!? ジャイロはどうする!?」
ジョニィが死の恐怖に動揺しているのに気づいたジャイロは、ジョニィの頭から背中を優しく撫でながら、穏やかに言った。
ジャイロ:「Tempus est quaedam pars aeternitatis.(テンプス・エスト・クウァエダム・パルス・アエテルニターティス)」
ジョニィ:「何?」
ジャイロ:「ラテン語の格言で、『時間は、永遠のある部分だ』という意味だ。永遠という時の流れの中で、俺達が生きているのはほんのわずかな一部分でしかない。逆に言えば俺達がこの世にいなくなっても、時間は変わらず流れていくってわけだ。今日という日が過ぎ去ったら、例え誰に何が起ころうと、明日は確実にやってくる。」
ジョニィは、ジャイロの意図がつかめないため黙って聞いている。
ジャイロ:「仮におまえが死んじまったら、おまえはあの方の御許で永遠となる。そしておまえのことを覚えていて想い出す者にとっては、おまえは変わらず生きているのも同然だ。つまり死ってのは、ただ時間を超越するだけだぜ。何を恐れることがあるんだ?」
ジョニィはここで、自分が一番恐れていたことが、皆から忘れ去られることだと気がついた。
ジョニィ:「ジャイロは、僕のこと忘れないか?」
ジャイロ:「おまえみたいな自分勝手な奴、簡単に忘れられるわけねーだろーが。それよか朝日が昇ったら、俺と会おうなジョニィ。おやすみ、また明日。」
(→17「口説き文句」に続く)
所要時間:50分
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